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「価値」という指標の変化

 

 経済活動の重要な指標のひとつが「価値」です。価値とは、「その物事がどのくらい人の役に立つのか」その度合いのことです。これからの時代は、有形、無形に関わらず、全ての仕事において「誰のための、どんな価値を生み出せるか」が問われることになるでしょう。

 

 しかし、経済活動の情報化、サービス化の進展に伴って、「価値」の概念が大きく変化していることを認識する必要があります。簡単に言えば、「価値を提供する側と価値を享受する側」という一方向的な捉え方から、「提供する側と享受する側が共に価値をつくる」という双方向的な捉え方に変わりつつあります。

 

 これからの時代は「共創価値」という考え方が主流になります。

 

  
◆価値の捉え方の変化

図をクリックすると拡大図が表示されます。

サービス概念の変化
1.サービス概念の変化

 

 従来の考え方である「モノ中心論理」と、これからの考え方である「サービス中心論理」のサービス概念を比較します。

 

①モノ中心論理(G-Dロジック)

 経済活動には、「モノ」と「(モノ以外(サービス)」が別々に存在する。従って、それぞれに異なる経営論理がある。

 

②サービス中心論理(S-Dロジック)

 社会の中で行われる経済活動の全てが「サービス」である。分類として、「モノを伴うサービス」と「モノを伴わないサービス」があると考える。モノとサービスを区分するのではなく、サービスの一形態としてモノがある。従って、経営論理はひとつである。

価値概念の変化
2.価値概念の変化

 

 従来の考え方である「モノ中心論理」と、これからの考え方である「サービス中心論理」の価値概念を比較します。

 

①モノ中心論理(G-Dロジック)

 価値を提供する側(企業)と価値を享受する側(顧客)にれる。価値の所在は、「生産価値」から「消費価値」へと一方向的に流れる。その過程で対価と交換される「交換価値」が重視される。

 

②サービス中心論理(S-Dロジック)

 価値を生み出すのは企業と顧客の双方であり、両者間の双方向の関係によって「価値を共創」する。その関係を継続する期間において生まれる「使用価値」が重視される。

価値づくり視点の変化
3.価値づくりの視点の変化

 

 本来、モノとサービスは独立して存在している訳ではなく、互いに補完し合うなど、密接な関係にあります。今後、モノとサービスは更に融合し、区別することが難しくなるでしょう。

 

 従来の「モノづくり」は、製品販売時点での「交換価値」の最大化を図ることが目的でした。今後は、製品の使用時点での価値(使用価値)を最大化することが重要となります。

 さらに、モノとサービスが融合した社会においては、それらを共に創り出す過程に生まれる「共創価値」を如何に高めていくか、が重要な課題となります。

■価値を高める革新手法

 

 製品やサービスの価値を評価し、使用者の立場で価値を向上する革新手法が「VE(Value Engineering)」です。VEは、1947年にアメリカの大手製造メーカーのGE社で開発されました。現在でも全世界の多くの民間企業や公共団体で活用されている優れた革新手法です。

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